カーメン2


今回はジャズヴォーカルCDのオススメである。
紹介するヴォーカリストの名は「カーメン・マクレエ」。

かつては、サラ・ヴォーン、エラ・フィッツジェラルドとカーメンが三大女性ヴォーカルと呼ばれていた。ぼくは個人的には晩年のサラがいちばん好きなのだが、カーメンによる1968年、1971年のライブ盤2枚は最高であった。
今年になるまでそれに気づかなかったぼくは大バカ者である。

カーメン1


たいがいのジャズ本によると、彼女の代表作は『ブック・オブ・バラード』(写真上段右上)となっている。当然それも聴いてはいるし、CDも持っていた。だが50年代のこのへんの紐付き(ストリングス付きのこと)バラードアルバムは全曲聴くとけっこー退屈なのよ。
本当に歌がうまいと思うし、感動的でさえあるのだがアルバム途中くらいでかったるくなって「よくわかりました。もうけっこうです」という状態になっていたんだな。
しかし、ひょんなキッカケで買った、今回オススメするライブ盤2枚が最高で完全にノックアウトされたのだ。

B000BDJ228カーメン・ライヴ・アット・センチュリー・プラザ(完全盤)
カーメン・マクレエ ノーマン・シモンズ チャールス・ドマニコ

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そのうちの1枚『グレート・アメリカン・ソングブック』は一般的にも名盤扱いとなっているようでよく知られているが、『カーメン・ライヴ・アット・センチュリー・プラザ(完全盤)』がさらにイイ。ぼくはこれを聴いて『グレート・アメリカン・ソングブック』も急いで買ったのであった。写真の『カーメン・マクレエ・ライヴ〜ジャズ・スタンダードを歌う』は86年の東京でのライブDVDで、映像付きなのはうれしいんだが残念ながら内容はちょっと落ちる。

B000LZ53GUグレート・アメリカン・ソングブック(完全盤)(紙ジャケット仕様)
カーメン・マクレエ ジョー・パス チャック・ドマニコ

ワーナーミュージック・ジャパン 2007-02-21
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B000AHQEVMカーメン・マクレエ・ライヴ ~ジャズ・スタンダードを歌う
カーメン・マクレエ

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ジャズを聴くのが慣れていない人でも、スタンダードナンバーとともに、サイモン&ガーファンクルや、ビートルズ、スティービー・ワンダーなどの歌もあるのでとっつきやすいしカーメンのすごさがわかりやすいだろう。

たとえば『ライヴ・アット・センチュリー・プラザ』の1曲目について書いてみる。この「夢見る喋々(ELUSIVE BUTTERFLY)」という曲はボブ・リンドというシンガーソングライターの当時のヒットチューンらしいのだが、この演奏がまた素晴らしいデキなのだ。

観客の拍手があり、そこにすぐベースがボボボンボボンボと入ってきて、ミディアムテンポを提示。気持ちよくグイグイくるベースラインが聴き手を「ハッ」とさせ、これからのステージの期待感を高めていく。
10秒あたりでカーメンが「Tyank you very much, Ladies and gentleman. A very good evening to yo.」とあいさつをし、一呼吸あってからすぐに歌い出す。
「♪You might wake up some morning〜」しばらくベースとのデュオ。
36秒ころ「♪Out on the new horizon〜」スネア一発とともにドラムが入ってくる。しばらくはタイコはぐっとガマンでハイハットシンバルのみをチキチキ。あいかわらずベースは同じくブンブンと素敵なラインをとっている。
サビ前の終わりあたりでシンバルがスツツツツツときて軽くブレイク。
1分すぎ「♪Don't be concerned, it will〜」のところで再びスネア一発後にやっとピアノが入ってくる。ここではじめてバックがピアノトリオ編成になるわけだ。ドラムはあいかわらずチキチキというシンバルワークのみで、ピアノは淡々としたバッキング中心。
1分20秒あたりで1コーラスがおわるとともに、ストトトトトとはじめてドラムロームがありシンバルワークはスチンスチンとはねるようになり、タイコも自由に叩き出す。ベースはあいかわらず強力なラインを取り続け、ピアノのバッキングも強めになり全体がどんどん盛り上がっていく。
そして全体を通したカーメンによる圧巻の歌唱。スィングしまくって、あっというまの2分53秒である。
とにかくうまいだけでなく楽しいのだ。「ザッツ・エンターテインメント」である。しかも、アルバムに収録されている曲すべてが絶品だ。

音楽好きならジャンルにこだわらずぜひ聴いてほしい一枚。いや絶対に聴け!