『億を稼ぐトレーダーたち』の内容を紹介。
インタビューの一部を掲載する4人目は、証券会社で働く現役ディーラー。
この元になったインタビューは、実は以前このブログで部分的に紹介(個人投資家の時代は終わったか?(2))したことがある(尻切れトンボになってしまったのだが)。

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綿貫哲夫(証券ディーラー)
値動きの背景を探ることによって、10年以上勝ち続けるベテラントレーダー


「私にとってマーケットは常に勉強の場なのです」
周囲からは異色といわれている職業ディーラー、綿貫哲夫氏(仮名)。 証券会社で働く職業ディーラーにもいろいろなタイプの人がいるが、職人的すぎて自分のトレードについて説明する言葉を持たないような人も多いだろう。例えばそんな人に具体的な状況を示し、「こんなとき、どうするんですか?」と戦略を聞いても、特殊な人しか理解できない答えが返ってくるのが落ちである。「うぅ〜ん、グッときたらボンといく。それだけですよ」なんて言われても、困ってしまう。きちんとしたテーマを持ってインタビューをして、個人投資家に有益な情報を引き出さないと、お互いに時間のムダになるだけだ。そんなことを思いながら知り合いのディーラーに相談したところ、綿貫氏という素晴らしい人を紹介してもらうことになった。 実際に話を聞いて、私は驚いた。10年以上もディーラーを続けて実績を上げているにもかかわらず、まるで株の勉強を始めたばかりで夢中になっている若い個人投資家のように、あらゆる情報に対してどん欲なのだ。しかも、単に情報を集めるのではなく(後略)

1.値動きにかかわる「人」が気になる

──職業ディーラーの一般的なやり方を説明してください。
まず、一定期間ポジションを持つやり方と、その日のうちに手仕舞いする「1カイ2ヤリ」、いわゆる日計り、デイトレードといわれるやり方に分かれます。

──それは個人の好みですか?
そうですね。一定期間ポジションを持つリスクを嫌がる人は、例えば銘柄を東京エレクトロンとみずほ銀行だけに限定したりします。その2銘柄だけを対象にして「買ってすぐ売る」を繰り返していれば、大幅にやられるリスクは避けられます。実際にそんな人がいました。その人は、ひとつの指標として先物の動きは見ていましたが、先物の動向を参考にというかきっかけとして、トレードの対象となる2銘柄のビッドとオファーを見て注文を出すというスタイルでした。2銘柄というのは極端な例でしょうが、とにかく銘柄をあまり増やさないでやっている人はたくさんいます。
あとは、会社との契約で制限があるかどうかです。金額的な制約だけでなく、一般の投資家のように一定期間ポジションを継続することができるかどうかは(後略)

2.何にでも食いつく新人類ディーラー

いま、歳がひとまわり以上も違う若いディーラーたちと同じ場所でトレードしています。彼らのやり方を見ていると、本当に驚きですね。市場を幅広く見ていて、動いているものなら何にでも食いついていくのです。そして、実際にそういう人たちが利益を上げているというのも事実です。板が薄い銘柄でも気にしないで手をつける、私の世代から見たら乱暴なやり方です。ディーラーだから儲かれば何でもいいのですが(後略)

──私が相場の業界に入ったのはバブルの最盛期ですから、石川島が無配転落直後に上げ始めて“ひと相場”があったりと、とにかくおカネが余っていた時代でした。単にカネ余りというだけで底上げの大きな相場があったのですが、メディアは「新人類」という言葉を使って、若いファンドマネージャーが怖いもの知らずで買い上がっていく新しい時代の相場だ、みたいなことを書いていました。でも、いまの話を聞いていると、まさに新人類ですね。
そうですね。ほんとに怖いもの知らずという感じです。私なんかは、そこまでついていくことができません。でも直近では、そういうやり方をしている連中だけが儲かっているというのも事実です。利益が驚くほどの金額に達しているわけではありませんし一時的な現象なのかもしれませんけれど、個人投資家と違って日々のトレードで利益を上げないといけない立場ですから、無視することもできませんね。

──そういう新人類ディーラーたちが動いている銘柄を見つける方法には、どんなものがあるのですか?
出来高変化率というものがあります。これを使っている人が多いのではないでしょうか。(後略)

3.実需不在の丁半バクチ

4.トレーダーとしての“自分”


──そういう動きが主流な状況では、一般の人やセミプロみたいなデイトレーダーたちも同じようなことをせざるを得ないのでしょうか?
短期トレードで結果を出そうとしたら、そういう状況に追い込まれます。板を見ているとわかるのですが、買ったとたんに少し上に売り指し値を出してくるのです。そういう見え見えのケースがよくありますね。思わず、「おまえ、いま買ったばかりだろ? そんなの誰も買わないぞ」なんてことを、端末の画面に向かって言ってしまいます(笑)。われわれディーラーは仕事なので、そういう動きを逆手にとって儲けようとしたりしながら毎日だまし合いをしているんですけど(後略)
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今年行った追加インタビューでは、新人類トレーダーのその後についてが語られている。こちらも実に興味深い話であった。
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林 知之

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